2011年1月4日火曜日

東京発公電:捕鯨問題

 この公電ではアメリカ側が、日本政府にアイスランドが提出しているナガスクジラの捕獲数を下げるようにアイスランド政府へと働きかけるように言っている。

 その理由としてはアイスランドは日本に鯨肉を輸出することを頭に入れて予定捕獲数を提出していて、それにも関わらずその予定捕獲数は日本の消費者達の需要をはるかに上回っているというため。

 それにしても東京からの公電が他の国からのモノとは違い、暗殺や核兵器の開発ではなく、捕鯨問題についてであるのは喜ばしい限りである。
 
 
原文
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 水産庁次長の山下氏が言うには日本はフィンランドからの鯨肉輸入に関してそれを停止する貿易処置を取ることはできないという。

 アメリカ経済公使参事官の返答は、アイスランドが提案しているナガスクジラの予定捕獲数は日本への輸出を考えに入れているにも関わらず、日本国内で消費出来る量をはるかに上回っているという。

 外務副大臣の福山氏が個人的に考えるに日本側からアイスランド側へと、この問題について何か言うのは難しいであろうが、アイスランドの立場と日本市場における輸入鯨肉の問題については彼自身、詳しく検討してみるという。

 山下氏が主張するにはアイスランドに対する貿易措置は二国間の鯨肉の取引についてはワシントン条約と国際捕鯨委員会では禁止されていないので不適切であるという。

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http://213.251.145.96/cable/2010/01/10TOKYO171.html
 

 日本は自国による調査目的の捕鯨以外にも鯨肉を手に入れる方法があるようだ。要するに、オーストラリア等がいくら反対して国際委員会などで捕鯨に関する厳しい処置を要求しようとも、日本側は結局ループホールを見つけこの伝統を続けていくだけだ。

 違法ドラッグ問題などと同じように需要があり続ける限り、どのように対策しようとも、それをかい潜って何事もなかったかのように取引は行われ続ける。

 日本政府や社会がこの流れを変えない限り、メニューから鯨肉が完全に消えることはないだろう。自分の両親が鯨肉を喜んで食べているのを考えてみると、どうもその変化はすぐには起こらないような気がする。

 筆者は鯨肉を食べないが、個人的には鯨や海豚の問題よりも、日本で未だに象牙が消費されていることの方が非常に不快に感じられる。東アジアでのハンコなどの象牙加工品の需要が止まない限りアフリカでの象の密猟は止まない。

 よく考えてみたとしても、ハンコを象牙で作る必要性も全く感じられないし、どちらかというと悪趣味であるような気がし、プラスチックで十分であると思うのだが。

 象牙については百年ほど前までヨーロッパでもビリヤードのボールに加工するなどのため重宝されていたが、プラスチックの到来によって置き換えられた。

 象牙を手に入れるだけのために健康な大人の象が殺されることを考えるとあまり良く思えない。

 中国では東洋医学の薬として使われるためトラの骨の取引が行われている。このため、ただでさえ少ない野生のトラが密猟されている。中国政府もこの違法取引を取り締まっているが、劇的な経済成長のため需要は高まる一方だという。

 日本ではトラの骨を漢方薬として飲む人はほとんどいないゆえに、この話のバカらしさに呆れさせられるが、少なくとも象牙が我々にとってのトラの骨であるのは言うまでもない。伝統が伝統ゆえに必ずしも正しいことはないし、時として明らかに筋が通らないこともある。そのような時は疑問の声を上げてみることも悪くはないだろう。

1 件のコメント:

  1. 象牙に関して言えば、日本は公式に輸入しているという面があります。
    アフリカの象の生息数にはムラがあり(野生動物なので国境をまたいで移動するので)、ある地域では過密、別の地域では過疎が起きています。かつては放っておけば勝手に移動して頭数が安定していたのですが、道路整備や都市化が進んで、象が勝手気ままに移動できない状態です。象が過密となった生息地では、象によってブッシュがなぎ倒され砂漠化が進行するなど深刻な環境破壊が発生しており、「象の間引」や「象の出荷」などが行われている地域もあります。
    間引というのは銃で撃ち殺して象牙を輸出するもので、かつて密猟者だった者を積極的に警備隊として雇って密漁を防ぐとともに、その給料を象牙の販売によってまかなうという方法が取られています。
    出荷というのは象を捕まえて世界中の動物園へ生きたまま売るということです。
    密漁が問題だと言われますが、2000〜3000年も前から象牙はアフリカにおける主要な交易品(原住民がお金を得る方法)の1つだった訳ですが、取り過ぎなければ現地人に仕事も、給料も作ることができます。
    実際、アフリカの主要な環境保護団体は日本の捕鯨を支持しています。日本が折れれば、自分達が過激な動物保護団体の標的なるのではないかと心配しているのです。

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